次の部屋です。
第66室はラッファエッロの作品が主に展示されてます。
何時も混雑している展示室ですが、この日は珍しく誰もいませんでした。
ラッファエッロ(ウルビーノ、1483‐ローマ、1520)と工房の「教皇ジュリオ2世デッラ・ローヴェレの肖像」(1510‐11)
ラッファエッロ単独で描かれた同じ肖像画がロンドンのナショナル・ギャラリーにありますが、そちらの方がオリジナルと考えられてます。
当時、同じ作品の需要があった場合、制作者自身でその複製画を描く場合があり、この作品はそれと考えられてます。
この作品ですが、ラッファエッロの生地ウルビーノの宮殿にありましたが、1631年、トスカーナ大公フェルディナンド2世とヴィットリア・デッラ・ローヴェレの結婚の際、ヴィットリアの持参金の一部としてウルビーノから移されたものです。当時のウルビーノは、デッラ・ローヴェレ家の領地となっていました。
作品鑑賞自体には、このような作品の歴史を知る必要が特にありませんが、知っておくと興味がより増すと思います。
ラッファエッロの「フランチェスコ・マリア・デッラ・ローヴェレ?の肖像」(1504‐05)
ヴィットリア・デッラ・ローヴェレの結婚の際、この作品も1631年にウルビーノから持参されたものです。
ラッファエッロの「グイドバルド・ダ・モンテフェルトロの肖像」(1504‐06c)
この作品も1631年にウルビーノからフィレンツェに移されました。
ラッファエッロに帰属する「エリザベッタ・ゴンザーガの肖像」(1503‐04c)
1631年、この作品もウルビーノからフィレンツェに来ました。
ラッファエッロの「ヒワの聖母」(1505‐06c)
ラッファエッロに帰属する「男の肖像」(1505‐06c)
リドルフォ・デル・ギルランダイオ(フィレンツェ、1483‐1510)の「女性の肖像」(1510c)
リドルフォの作品が何故ラッファエッロの展示室にあるのでしょうか?勿論、それには理由があります。詳しくは次の作品で触れることにします。
この作品には面白い歴史があります。1819年、トスカーナ大公フェルディナンド3世がローマの画商フェリーチェ・カルトーニから、この作品を購入したのですが、この作品はそれ以前からレオナルド・ダ・ヴィンチの作品とされており、非常に高価な金額で売買されたのです。
レオナルド作よりも、私にはラッファエッロ作に見えなくもないと思います。
リドルフォ・デル・ギルランダイオの「絵画カバー」(1510c)
今では、この前の写真の作品であるリドルフォの「女性の肖像」のカバーであると確定しています。
1867年までは、この絵画カバーはレオナルド・ダ・ヴィンチの作品とされており、1867年から1995年まではラッファエッロの帰属作品とされていました。
ところが、1995年、リドルフォの「女性の肖像」の絵画カバーであるという文書が発見され、作品帰属問題の決着となったのです。
この作品を見た記憶がありません。この時、初めて見たと思います。
エミリアの無名画家の「女性の肖像」
この作品が第66室に展示されている理由は何でしょうか?
さて、このまま廊下を進めば次は第67室ですが、横にあるレオナルド・ダ・ヴィンチの展示室を覗いたら誰もいなかったので、レオナルドの作品を見ることにしました。
レオナルド・ダ・ヴィンチの展示室は、4つの部屋と2つの展示コーナーからなる大規模なものへと充実、一新されました。
レオナルド・ダ・ヴィンチの作品がある部屋です。
第79室です。
こんなに空いていることは滅多にありません。私一人でした。
レオナルド・ダ・ヴィンチ(ヴィンチ、1452‐アンボワーズ、1519)の「受胎告知」(1472c)
アンドレア・デル・ヴェッロッキオ(フィレンツェ、1435‐ヴェネツィア、1488)とレオナルド・ダ・ヴィンチの「キリストの洗礼」(1470‐75)
次の部屋です。
レオナルド・ダ・ヴィンチに関する説明ビデオが流されています。
Familiarumの間
扉上のフレスコ画
次のコーナーです。
レオナルド・ダ・ヴィンチの下描き
次の部屋です。
第85室になります。
79室から85室の一挙に飛んで、途中の80室から84室はどうなっているのでしょう?
レオナルド・ダ・ヴィンチの「マギの礼拝」(1481‐82)
この作品を見るのは久し振りです。
次は第86室です。
マギの礼拝を制作するに当たり、レオナルドの下準備を見ることが出来ます。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「マギの礼拝の素描」(1481c)
「マギの礼拝」主題の参考作品として、フィリッピーノ・リッピの作品が展示されてます。
フィリッピーノ・リッピの「マギの礼拝」(1496)
次の部屋です。
第87室です。
この部屋ではレオナルド作「マギの礼拝」の修復について説明されてます。
レオナルド・ダ・ヴィンチの展示室の充実振りに感心しました。一見の価値があります。
(つづく)
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