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ピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディアは、教会と画廊から成る美術館です。
前編は、カラヴァッジョの「慈悲の七つの行い」があるピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディア教会です。
カプア―ナ城からダンテ駅へと通じるトリブナーリ通りです。


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如何にもナポリらしい、バイクや車が疾走する喧噪に満ち、道路上には犬の糞があちこちにある裏通りです。道路上のゴミ、糞に関して言えば、私が行った市町村の中でナポリは最悪で不衛生極まりない街です。ナポリの人たちの頭は相当にイカレテイルと思います。
2,3年前、ゴミ収集従事者のストライキ中にナポリに行ったことがありますが、街角のあちこちのゴミ山にたかる野良猫やネズミを見て、ペストに罹るのではないかと心配になりました。それでもナポリの人たちは平気なようで、ビックリしました。翌日、ゴミ山は更に大きくなり、翌々日はもっともっと高くなりました。ナポリ人、恐るべしです。


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通りに面して教会があります。


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外観が教会らしくないので、うっかりすると見過ごす可能性がありそうです。


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余談ですが、ナポリでは、大体このホテルに泊まることが多い。ホテル名のカラヴァッジョは、ホテルがカラヴァッジョ作品がある教会前の広場にあることに由来していると思います。

カラヴァッジョの「慈悲の7つの行い」があるピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディア教会が美術館として公開されるようになったのは2005年頃だったと思いますが、それ以前は教会の扉が開いていることが少なくなく、カラヴァッジョ作品を鑑賞できるか否かは正に運次第でした。
ミサの時は開くことが分かり、このホテルに泊まり、扉が開くのを待っていたものでした。それでもナポリ滞在中に拝観できなかったことがありました。


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美術館になってくれて大歓迎です。


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ピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディアは、プロテスタントに対抗するために、1601年8月に設立された慈善団体です。
団体の設立後、教会を建てることになり、1602年に創建され、1606年に完成したバロック様式のピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディア教会です。


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ピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディアのロッジャです。
教会は慈善団体の建物の一部に組み込まれています。


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建物図の写真右下が教会です。


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ロッジャの壁に「慈悲の7つの行い」の写真が掲げられてます。


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ミサ中は教会の中に入ることが出来ません。


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通りから建物の中に入ります。切符売り場は写真左側にあります。


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中庭


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中庭の彫刻


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中庭に出る右手前に教会への入り口があります。


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入って直ぐのところに「慈悲の聖母」の彫刻があります。


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中に入りました。


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八角形の内部です。7つの礼拝堂と主祭壇があります。


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この教会の存在をあまり知られていないようで、拝観者が多いということは先ずありませんが、時々、カラヴァッジョ作品ツアーのご一行が訪れます。


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クーポラ


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主祭壇


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主祭壇画は、カラヴァッジョの「慈悲の7つの行い」(1607)です。


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教会は1606年9月に完成しました。
新教会に相応しい主祭壇画の注文先を探していましたが、その翌月の1606年10月、ローマで殺人を犯し偶々ナポリに逃亡してきたカラヴァッジョに祭壇画が注文されました。


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そうして1607年1月に完成したのが、この「慈悲の7つの行い」でした。同信会が行っていた慈善事業を聖書の記述によって表現した傑作です。
作品制作料は400ドゥカートだったとの記録が残されてます。当時の1ドゥカートは今の約10万円説を採用すれば、画料は約4000万円!ということになります。

7つの礼拝堂には、それぞれ祭壇画が掲げられてます。


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バッティステッロの代表作です。


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「獄中からの聖ピエトロの解放」(1615)


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ルーカ・ジョルダーノの「十字架降下」(1671)


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ファブリツィオ・サンタフェ―デの「Tibithaを蘇生させる聖ピエトロ」(1611)


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床の中心にある模様


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ジョヴァン・ヴィンチェンツォ・フォルリの「善きサマリア人」(1607‐08)


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ファブリツィオ・サンタフェ―デの「マルタとマリアの家のキリスト」(1612)


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ジョヴァン・ベルナルド・アッゾリーノの「奴隷を開放する聖パオリーノ」(1626‐30)

祭壇画がもう1点ある筈ですが、ありませんでした。


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その作品がこれです。
ルーカ・ジョルダーノの「キリストと姦通女」
これと同じ作品がオークションに出品されていましたが、この教会にあったものでしょうか?
(作品画像は外部サイトから拝借しました)


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画廊の間越しから見えたカラヴァッジョの作品です。この時、ミサ中でした。


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(つづく)