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制作年が確実に分かっているカラヴァッジョ作品の中で、最後の作品とされている「聖ウルスラの殉教」(1610)が展示されているナポリのパラッツォ・セヴァロス・スティアーノ美術館です。


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ナポリのトレド通りです。
写真左の建物がパラッツォです。


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現在、この建物はナポリ銀行になってます。


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この建物に美術館が設けられたのは、2004年頃だったと思います。


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美術館の入り口です。
ミラノ、ヴィチェンツァにあるGallerie d'Italiaの一つです。


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最近、展示作品が徐々に多くなってきましたが、2013年頃までは、展示作品はカラヴァッジョの「聖ウルスラの殉教」だけと言っても過言ではありませんでした。それにも拘らずロシアなどに貸し出しをしてました。同作品が貸し出し中の時に入館したことがあり、その時は本当に参りました。
展示作品は恐らくナポリ銀行の所有物と思います。


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昨年秋から今年1月までミラノの王宮で開催されていた「デントロ・カラヴァッジョ展」にカラヴァッジョの「聖ウルスラの殉教」が貸し出されていました。同展から11月に取り外され、同じミラノのGallerie d'Italiaに移されましたが、2018年4月まで展示されるようです。


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ミラノのスカラ広場にあるGallerie d'Italiaです。カラヴァッジョの「聖ウルスラの殉教」の幟があります。


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入館しました。


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展示室に向かう廊下に彫刻が置かれてます。
ラッファエーレ・ベッリアッツィの「秋の寓意」(1870)


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展示室は日本の2階です。


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Maestro degli Annunci Al Pastoli (ナポリで17世紀前半活動)の「マギの礼拝」(1640‐40)


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Hendrick De Somer (1607-1656) の「父の視覚を治すトビア」(1635c)


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ボケ写真で申し訳ありません。
ナポリの無名画家の「キリストの服の先に賽子を投げつける兵士」(1635‐40)


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アンジェロ・カロセッリの「聖家族と聖フランチェスコ」(1610‐20)


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Louis Finson (ルイス・フィンソン)(ブルージュ、1578‐アムステルダム、1617)の「ユディト」(1607c)
2016年4月、フランス・トゥールーズ近郊の住宅の屋根裏で見つかった「ユディト」がカラヴァッジョ作の本物と言うニュースが流れました。屋根裏で見つかったのは2014年だったそうです。
その「ユディト」の写真を見た時、何処かで見たことがある作品だな、と思いました。記憶を頼りに撮った写真をチェックしたところ、この作品であることが分かりました。
カラヴァッジョが描いた「ユディト」が2作品あることは当時の文書に記載されており、「ユディト」2作品説は確実と思われてきました。
また、この作品を描いたルイス・フィンソンの遺言状に、カラヴァッジョの「ユディト」の複製画を制作したと書かれていたそうです。そのことから、この作品がカラヴァッジョ作品の複製画とされてきました。
屋根裏で見つかった「ユディト」の真贋鑑定のため、この作品は取り外されました。


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屋根裏で見つかったカラヴァッジョ作品かもしれない「ユディト」
作品画像は外部サイトから拝借しました。
屋根裏で見つかった「ユディト」とルイス・フィンソンの複製画は、ブレラ絵画館で2016年11月10日から2017年2月5日まで、2つ並べられて展示されました。
その後、屋根裏部屋で見つかった「ユディト」の真贋の結果がどうなったのか、気になりますが、未だそのニュースはないようです。


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アルテミジア・ジェンティレスキの「サムソンとデリラ」(1630‐38c)


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アルテミジア・ジェンティレスキの「水から生還したモーゼ」(1640c)


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フランチェスコ・グアリーニ(1611‐1652)の「聖ジョルジョ」(1645‐50c)


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ジョヴァンニ・バッティスタ・ルオッポーロ(ナポリ、1629‐1693)の「食材の静物画」(1665‐70c)


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フランチェスコ・ソリナーメの「アガルとイシマエル」(1690c)


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ガスパーレ・トラヴェルシ(ナポリ、1722‐ローマ、1770)の「合奏」(1755‐60c)


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ジュゼッペ・レッコの「魚介の静物画」(1675‐80c)


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ガスパーレ・レッコの「パン、ビスケット、花の静物画」(1675‐80c)


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ガスパーレ・トラヴェルシの「秘密の手紙」(1755‐60c)


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バルダッサッレ・デ・カーロ(ナポリ、1689‐1750)の「花と花瓶」(1715)


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バルダッサッレ・デ・カーロの「花と花瓶」(1715)


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Gaspar Van Wittel の「ナヴォーナ広場の景観」(1688‐1721c)


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Gaspar Van Wittel の「ナポリのLargo di Palazzoの景観」(18世紀第1四半世紀)


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ドメニコ・モレッリ(ナポリ、1826‐1901)の「団扇を持つ女性」(1873)


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パオロ・ヴェトリ(エンナ、1855‐ナポリ、1937)の「博物館」(1875)


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ヴィンチェンツォ・ミリア―ロ(ナポリ、1858‐1938)の「ファルヴィア」(1887c)


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サルヴァトーレ・ポスティリオーネ(ナポリ、1861‐1906)の「Per una messa novella」


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この部屋の展示作品はこれだけです。


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部屋の照明は極端に落とされ、作品が目立つように工夫されてます。その証明の工夫によって、カラヴァッジョが逃避行の中で到達した晩年様式がよく分かるようになってます。


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カラヴァッジョの「聖ウルスラの殉教」(1610)
大勢の女性たちと一緒に巡礼していた聖ウルスラは、巡礼途中のケルンで、当時ケルンを占領したフン族のアッティラ王の弓矢を腹に受けて殉教した様子が描かれてます。


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ジェノヴァの貴族マルカントニオ・ドーリアの注文によって制作されて、1610年5月11日に完成したという記録が残ってます。


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カラヴァッジョの作品の中で最も暗く描かれ、逃避行中のカラヴァッジョの追い詰められた焦燥感を思わせる粗いタッチと薄塗りが目立ちます。
この美術館は大体空いていて、その上、展示自体が照明などの工夫によって、筆使いや薄塗りなどがじっくりと見ることが出来ます。
また、近年の修復の際、聖ウルスラの両手とアッティラ王の左手の間に「手」が描かれていることが分かりました。


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カラヴァッジョ作品が展示されている部屋のスタッコ装飾


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部屋の天井


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ルーカ・ジョルダーノの「無原罪の御宿リ」(1680年代)


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フランチェスコ・ディ・マリア(ナポリ、1623‐1690)の「キリストの祝福」(1658c)


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ルーカ・ジョルダーノの「エレーナの強奪」(1665c)


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フランチェスコ・デ・ムーラ(ナポリ、1696‐1784)の「ピエタの寓意」(1759)


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フランチェスコ・デ・ムーラの「公衆の安全としてのピエタの寓意」(1759)


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フランチェスコ・デ・ムーラの「教えとしてのピエタの寓意」(1759)


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フランチェスコ・デ・ムーラの「調和としてのピエタの寓意」(1759)


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展示室の展示作品は以上です。


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階段の天井


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壁の装飾


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パラッツォ内も見学できますが、美術館部分を除けば銀行なので、立ち入りが制限されている箇所が殆どです。


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アッティリオ・セルヴァの「エヴァ」(1929)


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詳細不明


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詳細不明


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詳細不明


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カラヴァッジョの作品の他にアルテミジア・ジェンティレスキの2作品が良かったと思います。


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(おわり)