ヴィチェンツァの中世の歴史において、重要な役割を果たしたサンタ・コローナ教会です。



1259年、ヴィチェンツァ司教ベアート・バルトロメオ・ダ・ブレガンツェがフランス王ルイ9世から聖遺物のトゲ（荊刑を受けたキリストが被されていた）の寄贈を受けました。
それを祀るために、ヴィチェンツァ自治政府とドメニコ会によって、1261年から教会の建設が始められました。



1270年完成、1504年に奉献されたロンバルディア・ゴシック様式の教会です。



大理石造りの壮大なファサードが特徴です。



ファサードのバラ窓



入口ポータル上ルネッタの彫刻「荊刑のキリスト」は、19世紀に制作された二代目のものです。



柱頭






修道院の建設が1265年頃に始められ、1532年に完成しました。



この教会修道院には暗い歴史があるのです。



写真右の建物の白っぽい部分は、1944年の米英軍による爆撃によって破壊され、戦後に再建された箇所です。
そこは異端審問所が置かれた場所で、その下には拷問部屋と囚人部屋があったそうです。
1797年、ナポレオン軍の侵攻によってヴィチェンツァはナポレオン軍の占領下におかれ、それと同時に活動停止の命を受け、サンタ・コローナ教会修道院は閉鎖されますが、その時まで異端審問が行われていたのです。
ここの異端審問の特異な点は、単に宗教上に留まらず、キリスト教で卑賤の業とされた金貸しを異端審問の対象者として厳しく罰したことでした。
財産没収、処刑された金貸し業者が多数に上ったとされていますが、それらの記録の焼却によって証拠隠滅がなされ、具体的なことは殆どわかっていません。



三廊式、ラテン十字形の内部です。
現役の教会ですが、多数の美術作品があることからMuseoとして公開されており、拝観有料となってます。



内陣中央から左側廊方向を見たところです。



左側廊






右側廊方向



右側廊






天井の装飾



バルトロメオ・モンターニャ（オルツィヌオーヴィ、１４５０c‐ヴィチェンツァ、1523）の「マグダラのマリアと4聖人（聖ジローラモ、聖パオラ、聖モニカ？、聖アゴスティーノ）」（1514‐15c）



レアンドロ・ダ・ポンテ通称レアンドロ・バッサーノ（バッサーノ・デル・グラッパ、1557‐ヴェネツィア、1622）の「聖アントニーノの施し」（16世紀末）



レアンドロ・ヴェネツィアーノ（14世紀後半活動）とマルチェッロ・フォゴリーノ（ヴィチェンツァ、1483‐トレント？、1550）の「星の聖母」（1360c、1519）



ガルツァドーリの祭壇



ジョヴァンニ・ベッリーニ（ヴェネツィア、1430c‐1516）の「キリストの洗礼」



横から撮った方が作品画像がはっきりします。



アレッサンドロ・マガンツァ（ヴィチェンツァ、1548‐1632）の「聖人たち（聖母、マグダラのマリア、福音書記者聖ルーカ、聖アントニオ・アバーテ、聖ライモンド）を祝福するキリスト」（1604）



聖なるトゲ礼拝堂です。



ジャコモ・テントレッロ（16世紀活動）の「荊刑のキリスト」（1563）



中央礼拝堂はロレンツォ・ダ・ボローニャの作品（1504）です。



後陣の装飾



主祭壇は、フィレンツェのコルバレッリ家と工房の作品（1681‐1685）の作品です。



「荊刑のキリスト」
コルバレッリ家と工房ですが、フランチェスコ・コルバレッリが親方で、その息子ドメニコによって主導され、ピエトロ・パオロ、ベネデット、アントニオ、ジャンバッティスタなどの息子や弟子がいたとされてます。



「最後の晩餐」



「キリストの復活」



絵画も組み込まれてます。







後陣に入ることが出来ます。






中央礼拝堂の彫刻は、アンジェロ・マリナーリ（アンガラノ、1654，1654‐ヴィチェンツァ、？）の作品（1691‐1700）です。



聖ジローラモ



マグダラのマリア



天使



後陣のステンドグラス



クーポラ



聖歌隊席です。



聖歌隊席は、ピエル・アントニオ・デル・アッバティー・ダ・モデナの作品（1544）です。






ジョヴァンニ・バッティスタ・ピットーニ（ヴェネツィア、1687‐1767）の「聖母子と聖ピオ5世と聖ピエトロと聖パオロ」（1718‐25）



ミケリーノ・ダ・ベソッツォ（ベソッツォ、1370‐1455）のフレスコ画（15世紀初め）



これもミケリーノのフレスコ画です。



アントニオ・デ・ピエーリ（ヴィチェンツァ、1671‐1751）の「聖ヴィンチェンツォ・フェッレーリに顕現する聖母子と聖ヴィンチェンツォ・マルティーレと聖ジローラモ」（1750）



ロザリオの聖母礼拝堂



パオロ・ヴェロネーゼ（ヴェローナ、1528‐ヴェネツィア、1588）の「マギの礼拝」（1573）



ジョヴァンニ・ブサート（ヴィチェンツァ、1806‐1886）の「聖ジュゼッペの死」（1875）



ドメニコ・ツォルツィ（ヴェローナ、1729‐パドヴァ、1792）の「聖母の教育」（18世紀）



フランチェスコ・マッフェイ（ヴィチェンツァ、1605c‐パドヴァ、1660）の「ベアート・マッテオ・カッレーリオ」（1632c）



詳細不明






フレスコ画が残されてます。これらは、16世紀に活動した画家アレッサンドロ・ヴェルーラの作品（1519）です。



「慈悲の聖母」



「ベアート・イスナルド・ダ・キャンボ」



聖水盤



出入口



外に出ました。



アンドレア・パッラーディオの墓があるクリプタは非公開でした。



（おわり）