2017年10月の旅では、ミラノで開催されているカラヴァッジョ展に行くのが楽しみでした。
王宮で開催されてます。
正式にはDertro Caravaggioという特別展です。デントロとは内部という意味です。わざわざデントロが付いているのは、各作品の裏側に作品の説明コーナーが設けられてますが、そこで作品にX線照射をしてカラヴァッジョが描き直した部分などの説明が行われており、そのことを指しているのではないかと思います。
2017年9月29日から2018年1月28日まで開催されてます。
私は10月10日と10月25日の2回入りました。
私は2回とも予約しました。向かって右が予約済の人が並ぶ所です。予約なしの人は左側に並びます。
展示室内の混雑状況を見ながら予約なしの人を入館させているので、展示室内は混雑はしていません。
入場料は音声ガイド込みになってます。音声ガイドはイタリア語と英語で、日本語はありません。各作品の裏側に作品の解説コーナーが設けられてます。音声ガイドを聞きながら、作品を鑑賞し、さらに解説コーナーを回る人が多いので、館内の滞留時間が長くなる人が多いようです。
一部で囁かれていた、20分毎の予約時間に合わせて20分の総入れ替え制への懸念は無用です。長い人では4,5時間も中にいる人がいるようです。
展示室への入り口です。
中は写真不可です。
では、展示されている順番に展示作品を紹介しましょう。
展示作品は20点で、カラヴァッジョの真作が19点、カラヴァッジョの真作かどうか異説があって作品帰属に疑念がある作品が1点です。
ナポリから貸し出されている「聖ウルスラの殉教」ですが、貸出は11月27日までと聞いたことがあります。(私自身は現地で未確認、何故なら10月は問題なく展示されていたから気にしませんでした) 11月28日以降訪れる方は見ることが出来ないかも知れません。それに代わって代替え展示があるかも。(勝手な憶測です)
その後、分かったことを補足しておきます。
「聖ウルスラの殉教」はデントロ・カラヴァッジョ展から取り外されて、ミラノ・王宮から至近のスカラ広場にあるGallerie d'Italiaで展示されてます(2018年4月8日まで)。王宮でカラヴァッジョ展開催中にもう一つのカラヴァッジョ関連特別展を同じミラノで開催する意味合いが私にはよく分かりません。
「聖ウルスラの殉教」の代替え展示はありません。12月3日現在の展示作品は19点です。
また、ローマ・バルベリーニ宮からデントロ・カラヴァッジョ展に貸し出されている「ユディト」は12月10日までの展示となりそうです。
(以上12月3日追記)
なお、20点のうち、私の写真があるのは18点ですが、写真を探すのが大変なので、18点については外部サイトから作品画像を拝借しました。
「ホロフェルネスの首を斬るユディト」(1602)
ローマ、バルベリーニ宮国立古典絵画館
「エジプト逃避途中の休息」(1597)
ローマ、ドーリア・パンフィーリ美術館
「マグダラのマリア」(1597)
ローマ、ドーリア・パンフィーリ美術館
ドーリア・パンフィーリ美術館にはカラヴァッジョ作品が3点ありますが、2点を貸し出したのでは入館者から不満が出ないのか心配になります。
「女占い師」(1596‐97)
ローマ、カピトリーナ絵画館(カピトリーニ博物館)
「トカゲに嚙まれた少年」(1597)
フィレンツェ、ロベルト・ロンギ美術史研究財団
「聖フランチェスコと天使」(1595‐96c)
アメリア・コネティカット州ハートフォード、ウォズワース・アスィニアム美術館
「マルタとマグダラノマリア」(1598c)
アメリカ、デトロイト美術館
「イサクの犠牲」(1603)
フィレンツェ、ウフィツィ美術館
「聖家族と聖ジョヴァンニーノ」(1602‐04)
真作かどうか分からないとされてます。
個人所有ですが、ニューヨークのメトロポリタン美術館で寄託展示されてます。
「洗礼者聖ジョヴァンニ」(1604c)
アメリカ、カンザスシティーのネルソン・アトキンズ美術館
「洗礼者聖ジョヴァンニ」(1604)
ローマ、コルシーニ美術館
私が撮った写真です。
「悔悛の聖ジローラモ」(1605‐06)
スペイン・バルセロナ近く、モンセラット修道院博物館
「荊刑のキリスト」(1604‐05)
プラート、アルベルティ美術館(休館中)
ヴィチェンツァ・ポポラーレ銀行所有
「瞑想の聖フランチェスコ」(1604c)
クレモナ、アラ・ポンツォーネ市立美術館
「ロレートの聖母」(1604‐05)
ローマ、サンタゴスティーノ聖堂
この作品が来ているとは! 予想外です。
「瞑想の聖フランチェスコ」(1606)
ローマ、バルベリーニ宮国立古典絵画館
私が撮った写真です。
「キリストの鞭打ち」(1607)
ナポリ、カポディモンテ美術館
「マルタ騎士の肖像」(1607‐08)
フィレンツェ、パラティーナ美術館
「サロメ」(1609)
ロンドン、ナショナル・ギャラリー
「聖ウルスラの殉教」(1610)
ナポリ、パラッツォ・ツェヴァロス・スティアリアーノ美術館
ナポリにカラヴァッジョ作品が3点ありますが、「慈悲の7つの行い」だけがナポリに残っているのですね。
Milanoさんから、上の作品写真は「手」がないので修復前の作品画像とのご指摘を受けました。確かにその通りです。
Milanoさん、ご指摘頂きまして有難うございます。
私が撮った写真です。
フン族のアッティラ王の手と聖ウルスラの間に手が描かれてます。
(2017年12月14日追記)
以上20点です。
カラヴァッジョ作品をこれだけ纏めてみることが出来る機会は、これからもそれ程ないと思います。
コメント
コメント一覧 (8)
今朝アクセスした時と記事が違ってました。今日は更新が二回だったと分かりました。
魅力一杯の特別展で館内に4時間弱いました。入場料に音声ガイドが含まれていたので、それを聞きながら(イタリア語と英語がある)見て回ったので時間がかかりました。
作品だけでなく作品裏に設けられた作品説明箇所も熱心に見たので余計時間がかかりました。
特別展で興奮したので、予定外のアンブロジアーナに入館して「果物籠」とブレラに入館して「エマオの晩際」を特別展の直後に観ました。
カラヴァッジョ好きは今すぐにでもミラノに行き「デントロ・カラヴァッジョ」に行くべきです。
タイムリーで興味ある記事を有難うございます。
コメント、有難うございます。
10日ほど前にこの記事をアップする予定でした。その時は、私が撮った写真を掲載しようとして過去のメモリーカードの写真を探したのですが、中々見つからず結局Web Gallery Artから作品画像を拝借して、漸くアップに漕ぎつけました。
自分の力だけで鑑賞したかったので、音声ガイドは借りませんでした。
今回の特別展は滅多にない機会と思います。
>今すぐにでもミラノに行き「デントロ・カラヴァッジョ」に行くべきです
全く同感です。
はじめまして。時々ブログを拝見して楽しんでいるMilanoです。
突然のコメント、お許しください。
昨日このUltimo Caravaggio「聖ウルスラの殉教」を観てきました。
シニョレッリさんが掲載していらっしゃるウルスラの絵は
恐らく随分前のものではないかと思います。
最近(といっても10年以上前だと思いますが)の修復で
ウルスラの赤いマント部分に新たな「手」が発見されたようで
最近の図録などにはそちらの絵が掲載されています。
昨日その手をしっかり確認してきました。
ここに撮った写真を挿入できないので、Galleria d'Italiaの
サイトを貼っておきます。
http://progettocultura.prod.h-art.it/it/palazzo-zevallos-stigliano/la-galleria/lultimo-caravaggio/lombra-sulla-veste-della-santa-e-la-mano
この「手」があろうとなかろうと、カラヴァッジョの絵の
価値は不動だと書かれてあるので、それほど大したことは
ないのですが、一応お知らせまでと思った次第です。
Palazzo Realeのほうの展覧会はまだ行けていません。
先日予約もなしにフラフラと出かけていって長蛇の列の前に
撃沈しました。
展覧会終了までに必ず予約を取って観に行きたいと思います。
コメント、有難うございます。
ご指摘の通りです。
Web Gallery of Artの作品画像を確かめもせず、そのまま転載してしまいました。
「手」がある私の写真があるので、それをアップしておきます。
ご指摘いただいて有難うございました。
これからもよろしくお願いいたします。
年末年始にミラノに行き、カラヴァッジョ展を見てきました。
記事の内容が大変参考になりました。ありがとうございました。
気づくのが遅く、既に1月中旬まで予約がいっぱいでできなかったのですが、どうしても見たかったので予約なし列に並びました。
開館10分後ぐらいに現地に到着しましたが、3時間待ちました・・・。
私が行った時は、ガイドツアーの団体も2~3入っていて、結構混雑していました。シニョレッリさんはあまり混雑していない時に行かれたようで羨ましいです。
「ロレートの聖母」を間近で見ることができたのには驚きました!そして「ユディト」はもう展示されていませんでした。
しかしお蔭様で「聖ウルスラの殉教」はGallerie d'Italiaで見ることができました。
有益で興味深い記事をありがとうございます。
コメント、有難うございます。
寒い中、3時間も並ばれて大変でしたね。
イタリアの特別展や催し物の人出は全く読めません。
デントロ・カラヴァッジョ展と同じ会場で行われた、ミラノ万博の目玉として開催されたレオナルド・ダ・ヴィンチ展ですが、予約なしで行ったら長蛇の列で酷い目に遭ったので、その40日後に予約して再訪したら今度は全くの行列なしで、しかも中はがら空きで拍子抜けをしたことがありました。
ミラノ万博も同様で、私が行った時は閑古鳥が鳴いていましたが、会期末近くの大盛況との報道に驚きました。
「ロレートの聖母」ですが、特別展では細部描写までがくっきり見えて、薄暗い聖堂の中で見るのと随分違った感じを受けました。
ニューヨークのメトロポリタン美術館から貸し出されている「聖家族と聖ジョヴァンニーノ」ですが、特別展では真作と展示されていました。ブログでは真作かどうか分からないと書きました。
ご参考になったと伺い、大変嬉しく思います。
今後とも宜しくお願い致します。
はじめまして。詳細に記録してくださっているブログですね。すごいです!
ミラノのカラヴァッジョ展を検索していて、ここにたどり着きました。
2016年秋に、イタリアを旅行して、ローマのドーリア ヴァンフィーリ美術館や、国立絵画館、教会でたくさんのカラヴァッジョを観ることができましたが、それが2017年秋だったらと思うと、ぞっとします。
ほかのページの美術館も、
カタログに載らない、すてきな絵の数々を写真で紹介してくださっていますね。かつて行ったイタリアの記憶を補強し、
ミラノにも、いつか行きたいと、夢をふくらませました。
一生は長いようで短いもの。
生きたいように生きなくてはと、思わせてくださるステキなブログです。
ゆっくり、他のページも読ませていただきたいです。
コメント、有難うございます。今後の励みになります。
イタリアに度々行くようになった頃、当時はインターネットのごく初期の時代で、ガイドブックや美術本が頼りでしたが、必要な情報が得られなかったり、間違った情報があったりで、随分無駄足を踏みました。例えば、「カラヴァッジョの作品がある」と本に書かれていたので、実際に行ってみるとカラヴァッジョの追随者の作品やカラヴァッジョ作品のコピー画だったりでした。
有名美術館に行っても、展示室や展示作品が変更されていたのでしょう、私が見たい作品がなく、折角行ったのに、その甲斐がないという思いを何度もしました。
それらを教訓に、私が昔知りたかった情報を書いておきたいと言うのが、このブログの出発点です。
ミラノのカラヴァッジョ展ですが、「よく貸してくれたな」と思いました。傑作を集めての特別展の陰には、貸出を知らなくて美術館や教会を訪れた人たちが沢山いるのです。
今後ともよろしくお願いします。