引き続きサン・ピエトロ聖堂です。
身廊横壁上に描かれた絵画です。
これらの絵画は、アントニオ・ヴァッシラーキ通称アリエンセ(マロ、1556-ヴェネツィア、1629)、パオロ・ヴェロネーゼ派逸名画家、ティントレット派逸名画家によって、1591年から1611年に制作されましたが、各場面の帰属は明らかになっていないようです。
絵画のテーマは、旧約聖書と新約聖書の逸話となってます。
聖堂内からキオストロに出ました。
見所が豊富で大満足でしたが、一部見ることが出来なかった作品があるのが残念です。
ここでペルジーノによって描かれた「サン・ピエトロのポリッティコ」について触れておきましょう。
サン・ピエトロ聖堂Presbiterioの主祭壇を飾っていたのが、ペルジーノによって1496年から1500年に制作された多翼祭壇画の大作です。
その配置は以上のようになっていました。
1797年、ナポレオン軍のイタリア侵攻に伴い、ペルージャからも多くの作品がフランスに持ち去られましたが、その一つがこの多翼祭壇画でした。
一旦は、ルーブル美術館ですべてのパネルが揃った完全な形で展示されていました。ナポレオンの失脚後、奪われた作品の返却交渉が行われました。
この多翼祭壇画も交渉されましたが、その途中で何故かパネル毎に分解されて、戻されたのはプレデッラの7パネルのみで、分解された主要パネルは今でもフランスの美術館で展示されてます。プレデッラの「聖スコラスティカ」は失われてしまいました。
キリストの昇天と聖なる父なる神(フランス・リオンの美術館にあります)
キリストの昇天
マギの礼拝(フランス、ルーアンの美術館にあります)
キリストの復活(フランス、ルーアンの美術館にあります)
キリストの洗礼(フランス、ルーアンの美術館にあります)
預言者イザヤ(フランス、ナントの美術館にあります)
預言者ダヴィデ(フランス、ナントの美術館にあります)
聖エルコラーノ(国立ウンブリア美術館蔵)
聖コスタンツォ(国立ウンブリア美術館蔵)
聖マウロ(国立ウンブリア美術館蔵)
聖ピエトロ・ヴィンチョーリ(国立ウンブリア美術館蔵)
聖ベネデットのコピー
戻された時、劣化が激しく、返還直後に制作されたコピーです。オリジナルは存在しないようです。
聖フラヴィアのコピー
聖ベネデットと同じです。
聖プラチドのコピー
少し脱線しました。
ナポレオンのイタリア侵攻で、戦利品としてイタリアの傑作を多数奪ったフランス人ですから、ドイツ軍のパリ進軍時に、美術品没収に喜んで応じるべきだったと思います。自国が奪うのは良いが、奪われるのは嫌とは道理が通らない。
このことでフランス人の美術ファンと仲違いして、絶交して今に至ってます。
サン・ピエトロ修道院聖堂の建物から外に出ました。
次は、サン・ドメニコ聖堂です。
Borgo XX Giugno
サン・ピエトロ門の先にサン・ドメニコ聖堂の鐘楼が見えました。
サン・ピエトロ門を潜ります。
カヴール通りです。
サン・ドメニコ聖堂に戻ってきました。
(つづく)