

サンタ・マリア・デル・カルミネ教会です。

カルメル会によって1324年から1328年に建設されました。

16世紀から17世紀に拡張され、現在の大きさになりました。また、17世紀に一部バロック様式に改造されました。

歴史ある教会にしては少し新しく見えるファサードです。それは当然で、19世紀になるとファサードの劣化が進んだので、1835年に再建された比較的新しいファサードです。

ファサードの前に彫像が置かれてます。

サルヴィーノ・サルヴィーニ(リヴォルノ、1824-アレッツォ、1899)の「二コラ・ピサーノ(プーリア,1220c-ピサ、1284c)像」(1862)

ピサを代表する彫刻家二コラ・ピサーノを記念する彫像があるのは当然ですが、カルミネ教会のファサード前に設置された理由が分かりません。
この彫刻は元々カンポ・サントに置かれていました。今でもカンポ・サントに置かれていてもまったく問題がないと思われます。

ファサードの壁龕に置かれた彫像を見ます。

カッラーラの逸名彫刻家作「聖エリア」(1697)
再建される以前のファサードにあった彫刻です。

カッラーラの逸名彫刻家作「聖ジョヴァンニ・バッティスタ」(1697)
再建以前のファサードにありました。

後陣と鐘楼



拝観します。

中に入りました。

単廊式、ルネサンス様式、一部バロック様式の内部です。長さが約70メートルあります。

右側壁

美術的に見どころ豊富な教会として有名です。

過去にこの教会にあった有名な作品がありました。

この教会にあった作品です。
マザッチョ(サン・ジョヴァンニ・ヴァルダルノ、1401-ローマ、1428)の「ピサの多翼祭壇画」(1426)
サン・ジュスト出身の公証人セル・ジュリアーノ・ディ・コリーノ・デル・スカルシが所有するカルミネ教会の礼拝堂の祭壇画としてマザッチョに注文した作品です。作品注文にかかわる契約書が残されます。
17世紀から18世紀にかけて分解され、パネル毎に販売されました。現存するパネルは上の写真の通りです。失われたパネルがかなりあることが分かります。
現存するパネルですが、「聖母子」がロンドン・ナショナルギャラリー、「磔刑」がナポリのカポディモンテ美術館、「聖パオロ」がピサのサン・マッテオ国立美術館、「聖アンドレア」がアメリカのゲッティ美術館、サイドパネルとプレデッラがベルリン国立美術館にあります。

マザッチョの「聖母子と音楽天使」
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵

マザッチョの「磔刑」
ナポリのカポディモンテ美術館蔵

マザッチョの「聖パオロ」
ピサのサン・マッテオ国立美術館蔵

マザッチョの「聖アンドレア」
アメリカのゲッティ美術館蔵

多翼祭壇画を分解してパネル毎に販売する気が知れません。

全パネルが揃っての多翼祭壇画ですから。

聖具室


(つづく)
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