1写真はアレッツォです。
ルカ・シニョレッリが初めて工房を構えたのがアレッツォです。ルカへの画料支払いがピエロ・デッラ・フランチェスカ経由だったことから、ピエロの工房における親方だった可能性がありそうです。


32.アメリカ、ワシントンDC National Gallery of Art
2
世界一の金持国アメリカのNational Gallery of Artですから、有名作品が揃ってます。札束で持ってきた作品が多く、地元アメリカ出身の芸術家による作品が少ないのが特徴でしょう。


3
展示は膨大で見るのが大変です。
ルカ・シニョレッリの作品が3点あります。


4
ルカ・シニョレッリの「磔刑」
この作品は、マテーリカのサンタゴスティーノ教会の主祭壇画の一部です。


7
マテーリカは、人口9,034人(2025年9月30日現在)のマルケ州マチェラータ県にあるコムーネです。


8
マテーリカのサンタゴスティーノ教会です。
1504年5月25日付で祭壇画制作の契約が締結され、1505年9月3日に納品された記録が残されてます。ルカ・シニョレッリは、その画料としてコルトーナの家二軒を受け取る契約になっていて、実行されました。
1789年の地震によって、教会の建物は大きな被害を受けるとともに、ルカの祭壇画も画材の木材が破断したそうです。被害を受けた祭壇画の状態の良い部分が剝ぎ取られて別々に売却されました。現存するのはその部分画13点となっており、ロンドンのナショナルギャラリーなどの美術館や個人の収集家によって保有されてます。
部分画「磔刑」はロンドンの画商、ロンドンのチャールズ・J・ロビンソン卿のコレクション、リッチモンドのフランシス・クック卿のコレクションを経て、1948年にワシントンのナショナルギャラリーの所有となりました。


9
マテーリカのサンタゴスティーノ教会の主祭壇画の主要部分
以上で「磔刑」を終わります。



5
ルカ・シニョレッリの「聖母の結婚」
縦22㎝ 横48㎝の小さな板に描かれてます。そのサイズから明らかに祭壇画の裾絵の一部と考えられてます。
その祭壇画ですが、ヴォルテッラのドゥオーモのサンタ・マリア修道会礼拝堂の主祭壇画「受胎告知」が有力とされてます。


10
ヴォルテッラのドゥオーモ


11
ヴォルテッラのドゥオーモにあった、ルカ・シニョレッリの「受胎告知」


12
「受胎告知」はヴォルテッラの市立絵画館で展示されてます。


13
ヴォルテッラの市立絵画館

さて、ワシントンDCのナショナルギャラリーの「聖母の結婚」と対になる裾絵として、リッチモンドのVirginia Museum of Fine Arts所蔵の「聖母の神殿奉献」が定説となってます。


14
ルカ・シニョレッリの「聖母の神殿奉献」
この作品は現在展示されていないようです。
ワシントンDCのナショナルギャラリー所蔵の「聖母の結婚」とリッチモンドのヴァージニア美術館所蔵の「聖母の神殿奉献」は、実は所有者が同じでしたが、20世紀初めに別々のコレクターに売却されたのです。


15
写真はリッチモンドのVirginia Museum of Fine Artsです。

ワシントンDCのナショナルギャラリーに戻ります。


6
ルカ・シニョレッリの「聖母子と聖人たち」


16
写真はアレッツォのPalazzo Albergottiです。
アレッツォの名門貴族アルベルゴッティ家の邸宅です。
ワシントンDCのナショナルギャラリー所蔵の「聖母子と聖人たち」は、アルベルゴッティ家のコレクションにあったことが確認されてます。同家からフィレンツェのロンバルディ・バルディのコレクションに売却されました。その後、数度所有者が変わりました。1961年、当時所有していたホノルル・アカデミーからナショナルギャラリーに移管され、現在に至ってます。


17
写真はアレッツォのドゥオーモです。

「聖母子と聖人たち」は、アレッツォ・ドゥオーモのアルベルゴッティ礼拝堂の祭壇を飾っていたか、または同家邸宅横にあったサン・マルコ・ア・ムレッロ教会(取り壊されて、その痕跡さえ存在しない)に寄贈された、のどちらかと言われてます。
ルカ・シニョレッリの時代、聖会話形式の祭壇画に裾絵が付いていることが多く、この祭壇画にもプレデッラがあった可能性があります。
この「聖母子と聖人たち」の裾絵として、アレッツォのMuseo Diocesanoにある「聖母マリアの生涯の物語」が提唱されてます。
それらを紹介しておきましょう。


18
写真右端の建物がアレッツォの司教館です。司教館にMuseo Diocesanoが置かれてます。


19
Museo Diocesanoで展示されているルカ・シニョレッリの裾絵


20
聖母の結婚


21
聖母の神殿奉献


22
聖母の誕生

しかし、アレッツォのMuseo Diocesanoにある「聖母の生涯の物語」の裾絵については、予てから提唱されている説があって、それが多数意見となってます。


23
アレッツォのMuseo Diocesanoにある裾絵「聖母の生涯の物語」のメインパネルとして提唱されている作品


24
この作品はアレッツォのサンタ・マルゲリータ修道院の修道女から注文されました。


25
アレッツォの中世近代美術館にあります。


33.アメリカ、マサチューセッツ州ウィリアムズタウン Sterling and Francine Clark Art Insitute
28
アメリカ、マサチューセッツ州ウィリアムズタウンにあるSterling and Francine Clark Art Insituteです。
ここにルカ・シニョレッリの作品があります。


26
ルカ・シニョレッリの「アレッサンドリアの聖カテリーナの殉教」

有名なPala Bichiの裾絵の一部です。


29
シエナのサンタゴスティーノ教会です。


31
サンタゴスティーノ教会の内部です。

サンタゴスティーノ教会は、1747年に火災に遭い、大きな被害を受けてしまいました。火災後、大修復工事が行われ、内部は新古典様式に改造されました。
Bichi家の個人礼拝堂は、ルカ・シニョレッリのフレスコ画で壁が装飾され、ルカの祭壇画が礼拝堂を飾っていました。しかし、火災の随分前にBichi家は没落してしまい、Bichi家の個人礼拝堂は教会にとって重荷になっていました。
火災後の修復改造工事の際、Bichi礼拝堂のルカのフレスコ画は塗りつぶされ、ルカの祭壇画は分解されてパネル毎売却されました。


27
Pala Bichi
この他にも現存するパネルがありますが、個人蔵などの理由により写真がありません。


30
Cappella Bichiのルカ・シニョレッリのフレスコ画
(つづく)